家に着いてからは、すぐに寝る支度をして、アルマさんにおやすみを言って、僕とシューは家の2階にあるそれぞれの部屋に行った。
2階へ行く階段の軋む音も、ずいぶん聞き慣れたな、なんて考える。
シューは部屋に入る前に僕を振り返って言った。
「また明日も遊ぼうね!」
それに僕はまたにっこり笑って答える。
「もちろん。おやすみ」
「おやすみ。」
部屋に入ると、一気に静けさが僕を襲う。
村の騒ぎももうここからは聞こえなくなっていて、ただ虫の鳴く音と、草が風にそよぐ音だけが聞こえてきた。
一人になった途端、僕はテマのとバルさんの言葉を思い出して、立ち尽くす。
『敬語なんか使わなくていいのに。』
『ほんとうに覚えていないんだな。』
僕はバルさんに、覚えていない、と答えた。
そこまで考えて、僕は部屋の窓際に移動して窓枠に座る。
こんなところをアルマさんに見られたら、危ないって怒られるかな、なんて考えてしまう。
それに小さく、ははっと笑ってから、空で瞬く星を見上げた。
イルトは星の子。
でも僕は、あんなに綺麗に光る星と、僕がいっしょだとは思わない。
というより、知っているのだ。
僕が。
化け物だと。



