僕とシューは村中の屋台を見てまわった。



出会う村の人はみんな僕を見る旅に、

「イルト!おめでとう」

「おめでとう」

「誕生日おめでとう」


と言ってくれる。

その度に僕はありがとうございますと言って、その度に幸せになる。

そしてその度にシューが満面の笑みで、

「ほんとによかったね、イルト。」

と言ってくれる。

それにもまた僕は、ありがとうと言う。



ありがとうと言うのは、とても幸せな気分だった。ほんとに毎日これが続けばいいな、と思う。




と、そこでラニテイたちの姿を見つける。

ラニテイたちも僕らに気づいて走ってくる。


「イルトよかったね!!」

と言ってテマが僕の手を握る。

「ありがとう。」

と微笑むと、ラニテイやナギキも笑ってくれる。そこでナギキが、

「ったくさー。だから今日は俺らもイルトと遊びたかったのにさ。」

とこぼすと、それにテマも口をとがらせてうんうんとうなずく。


「そうそう!!せっかく1ヶ月も前から準備の間イルトを村から連れ出す方法考えてたのにー。」


「そんなに早くから計画してたの?」

と僕が驚くと、テマは笑顔でうんっとうなずく。


「そうだよ!始めはアルマおばさんとあたしたち3人で計画してたんだけど、バルさんが村の人全員でやろうって言うから村の人にも協力してもらったのっ。」

と自慢げに言ってから、またすねた顔になる。



「だから今日はいっぱいイルトといれると思ったのにさ。」


と怒る。うしろにいたラニテイやナギキも珍しく止めに入る様子がない。それどころか、

「そうだよー。せっかく村の人たちと決めた係だったのにシューがイルトを連れてっちゃったから、俺らやることなくて屋台の組み立て手伝わされたんだぞ。」

とナギキ。
ラニテイまでもが、

「途中で2人が帰ってこないか3人でハラハラしてたんだよ。」

と言う。



それにシューがバツが悪そうに、

「う……。ごめんね。」

と言うので、3人は声をあげて笑う。