zinma Ⅰ




それから僕たちは、木登りをしたり、木の上の小鳥の巣をのぞいてみたり。

虫を見つけて無駄に笑いながら、花を摘んだりした。

その間シューはずっと笑っていて、森もシューにつられて笑っているような感じがした。



穏やかな時間がゆっくりと流れたかと思うと、一日が終わるころにはいつの間にか時間が経っている。

シューと森で遊ぶときはいつも、時間がゆったりと流れるような感じがするのに、夕方はいつの間にか訪れていて、よく夕食の時間に間に合わずにアルマさんに怒られた。



今日も同じように夕方はいつの間にか訪れて、僕たちは森の中の湖を見てから帰ろうと言って、湖に向かっていた。



その途中。シューが突然切り出す。


「イルト。」

「なに?」

「あのね。」

「うん。」

「今日イルトといっしょにいたかったのはね。」


と、そこでシューが足を止める。僕もいっしょに足を止めてシューを見ると、ちょうどシューと向かい合う形になる。

シューは照れたようにうつむいてから、背中に回していた手を前にだす。

その手にはいつの間にか、花で作られた小さな首飾りが握られていて。

その首飾りの中心には、黄緑色に輝く小さな石が付けられていた。



僕はその石に、見覚えがある。


この村に伝わるお守りの石だ。

特に空気の澄んだ日に、森の精霊が森に落としてくれるという。




シューは顔を上げて、いう。

「今日で、イルトがこの村に来て、ちょうど2年になるの。」