肌寒い気温にも慣れ、朝は布団から出るのが億劫になる、冬。
今日は珍しく麗らか(うららか)な快晴。

俺と琴美は、例の公園のベンチに腰掛けていた。

「いやー、日差しは暖かいけど、風が冷たいね。やっぱり寒いのは変わらないや」

俺から人が一人分座れる間を開けて、ベンチに座っているコイツが言う。

髪は、少し伸びたらしい。
前より大人っぽく見える。

「まぁ、今日は雪が降るらしいし、冬なんだから寒くて当然だろ」
はふ、と息を吐けば、空に向かってふわりと消えた。

「あ、降るらしいねー、雪。積もるといいなぁ」
そう言って琴美は上機嫌そうに目を細めた。

俺のすぐ側にはいない、琴美の横顔を横目で盗み見る。

コイツの隣は、俺じゃない。

コイツの横に座るのは、優太だから。