駅近くにある公園のベンチ。

そこが俺とアイツ――琴美との待ち合わせ場所だった。

何も言わなくても、アイツに会いたかったらここに来ればアイツが居る。

逆もまた然りで、俺がここに座っていたらアイツが会いにきた。

友達にしては親密で、親友にしてはお互いに踏み込まなすぎる。
幼なじみというわけではないけど、いつしか出会って、連絡取ったり遊んだりして、今に至る。

彼女かと問われれば否定は容易い。

夫婦以上恋人未満。

ある本の言葉だけど、それが俺達の関係だった。

実際、お互い一緒にいるのが落ち着いた。

趣味も同じで考え方も似ている。

けど何故か、好きという感情は芽生えなかった。
…多分。
そういう風に、考えたことがない。