3日目の朝、やっと妹尾から連絡があった。


【すいません…連絡できなくて…】


声は掠れていて、弱々しい。

「いや、大丈夫なのか?」

【病院行ったら、インフルエンザって診断されて…もう少し、休みたいんですけど…】

「そうか…わかった。ゆっくり休めよ?」


【はい…】


小さな声の返事が聞こえ、電話は切れた。



インフルエンザか…声からして、かなり辛そうだった。



「高橋!泰葉、インフルエンザだったって」

声を掛けてきたのは、安川。

「ああ。今、電話あった。かなり辛そうだな」

「大丈夫かな?泰葉」

「薬飲んで寝てれば良くなるだろう」


「…なんか、高橋冷たいよね」

「は?」



冷めた目で、安川は俺を見ている。



「彼女がインフルエンザで寝込んでいるっていうのに、見舞いも行かない気?」


「は?」


何を言い出すんだ、コイツは…

「泰葉はあんなに高橋を想っているのに、高橋は泰葉に対してそんなもんなんだ」


「言ってること、意味わかんねぇよ。だいたい…」

「あっそう!わかった!言っとくけど、泰葉のことを好きなのは高橋だけじゃないんだからね!」


べーっと舌を出し、捨て台詞のように言うと安川は行ってしまった。