「…高橋先生、遅いですよ」


「また、お前か…はぁ」


嫌々、職員室に向かうとそこにいたのは岩瀬だった。


「溜め息つくなんて酷いじゃないですか」


「はぁ…今度は何したんだ?」

「教室の扉、ぶっ壊した」

「…」



平然と言う岩瀬は、入学してからずっと手のかかる生徒。


「ところで、今日は妹尾先輩いないんですね」


「あ?ああ…体調不良で休んでいる」

「そうですか」

「妹尾になんか用か?」

「俺、イライラしてるから」


「…は?」


「妹尾先輩と一緒にいると、何故か癒やされるんですよ。精神安定剤みたいな」


「あ?」


「キスしたら、もうイライラなんかぶっ飛んじゃうかも」


「あぁ?!」


「冗談ですよ。そんなに怒らないでください。バレちゃいますよ?」


「う…」


こいつ…妹尾と俺のことを知ってから、弱みを握ったかのように言ってくる。


しかも、冗談かと思いきや…妹尾に対して…


「先生、顔怖いです」


「うるせーよ。もういい、反省文10枚書いてこい」

引き出しから作文用紙を出すと、岩瀬に渡した。


「妹尾先輩に手伝ってもらおう」

まだ言うか!!


「一人でやれ!」


「先生」


「あ?」


「男の嫉妬はみっともないですよ」


「!」



その言葉は、昨日立川にもー…





「さっさと帰れ!」




どいつもこいつも…




少しは、俺の苦労も考えろ!