「こんなとこで、何考えこんでいるんですか?」


「!」


背後から声がした。


振り返ると、そこには立川が立っていた。



「安川がまたブツブツ言ってましたよ」


「あ…あぁ…あれか…」


はぁ…と溜め息が出てしまう。

「で、お前も何か言いにきたのか?」

「いいえ。でも、先生が考えて込んでいることは言いにきました」

「俺が…考えていたこと?」

何故、立川がわかるんだ?


「また、俺が教師で妹尾さんが生徒だからってことをウダウダ考えていたんでしょ?」


ウダウダって…


「…違うよ」


「じゃあ、俺が妹尾さんのお見舞い行こう」

「…は!?」

「パジャマ姿の妹尾さん…可愛いだろうな」


「…」

ニッコリ笑って言う、立川。


コイツは…





「はぁ…そんなに睨むなら、見舞いぐらい行ってもいいんじゃないんですか?」


「睨んでねぇよ。それに…」


「担任だから見舞いに行ってもいいんじゃないんですか?…ほら」


無理やり、何かを押し付けられた。


「これ…」


「提出、来週まででしたよね?良かったですね。行く理由ができて」


立川が渡してきたのは、各教科の課題プリント。
明日までに提出しないと、成績が危なくなる。


「立川っ…」


いいだけ言いたいことを言うと、立川はさっさと去って行こうとする。



「あ…忘れてた」



くるっと立川が振り返った。



「また、グズグズ考えてたら本当に妹尾さんもらいますからね」



不適な笑みを含ませながら、言った。



「…」





いつも、立川には…





「お前には、やらねぇよ」



助けられてばかりだ。