「え…」



しかめた顔をしてあたしを見る瞳。
あたしの手の上におかれたアユムの手からするりとぬけた。



「なんで…?」




震えた声であたしに言うアユム。
すごい悲しい顔してる。
あのとき、断っていればこんな悲しい顔させなくてすんだのに…。




「これ以上、アユムを傷つけたくない」



「なんで?ゆうがいなくなったほうが傷つく…」



「それはいっとき。アユム、あたしまだレイタが好き…」



「知ってる、知ってて付き合ってるんだよ?」



「もう、ダメだよ…」



「嫌だよ、ゆう。別れたくない」



「アユム…」




その瞬間、歩むがあたしを抱き寄せた。




「スキでいい…傷ついて良いからそばにいて…」




そういうアユムの手は力なかった。
体が小刻みに震えている。
アユム…。
こんなにもしてしまったのはあたしだ…。
アユム…。
ごめんね…。



「よくない、アユムはこれ以上傷つく必要ないよ…」



「なんでそんなこと言うんだよ…」



「アユムがスキだから…」




その瞬間、腕の力が弱まった。
あたしはその腕から抜け、アユムの頬にキスをした。



「アユムは幸せになって、あたしのせいで辛い思いさせてごめんね…。ありがとう」




そう言ってあたしは歩き出した。
そのとき後ろから




「あいつはおまえを必要としてない!!!」