あたしには居場所がある。
アユムがいつか、あたし以外の人を選ぶまで。
この優しさに甘えてもいいかな…?
あたし、甘えさせてもらうよ。
あたしはアユムの背中にぎゅっと抱きついた。
まだ、スキにはなれないけど…、
目の前にある温もりを確かめるように
ぎゅっと抱きしめた。



すると、ふわっと頭に手がのってきた。
見上げると優しい顔のアユムがいた。
夕日がアユムの顔を照らしている。
あぁ、あなたはいつも輝いて見えるよ。
あたしなんかと全然違う、
すばらしい人だよ、アユム…。




「行くかっ」




アユムが優しい声でそういった。
あたしはゆっくりうなずいた。
何気なく、周りをみると…。



え…。

こっちを見ているレイタと目が合った。
あたしはすぐに逸らしたが…。
レイタ、見られた…。
なんか、嫌だ、

嫌だ、嫌だ、嫌だ



あたしは思わず自転車から降りた。
自転車はガシャンッと音を立ててゆれた。



「ゆう…?」




はっと見ると、歪んだ顔のアユム。
どうしよう…。
あたし、今、アユムを拒絶…した……。
レイタに見られたから…。
なんで?


周りを見ると、驚いた顔のレイタ。
でも、友達に呼ばれて遠くに行ってしまった。




「ご、ごめん…」