「あたしここで降りるね」
「そっか。俺も降りよ」
そういってレイタも席を立った。
「あれ、レイタ、次の駅じゃないの?」
そういうとレイタは小銭を出しながらあたしのほうにÜだけ向けた。
「次の場所もあんまり変わらないしね」
そういってレイタは笑った。
どうしてだろうね。
そんなところにふいに惹かれちゃうよ。
みんな、昔からそうだった。
女子に優しいレイタは、結構モテた。
でも、レイタはそれをことごとく振るんだ。
優しさを、自分への好意とみんな勘違いしちゃうんだ。
それくらいにレイタは優しかった。
そんなレイタとミユが付き合ったのはみんなもびっくりだった。
だから、それを嫉妬しちゃう子もいた。
もちろん、ミユにも、レイタにも。
ミユ、結構モテるんだよね。
あたしは2人には続いてほしかったな。
そう思っていた、本気で。
気づくと、あたしとレイタはすでに歩き始めていた。
レイタはあたしの歩幅にあわせて歩いてくれた。
さすがって感じ。
道路側を歩いていて、あたしを歩道に入れてくれる。
そんな小さな優しさがあった。
「じゃあ、あたしこっちだから」
「あー、そっか。じゃあな」
「うん、じゃあね」
あたしは去っていくレイタの後姿を見ていた。
あたしはそれを見送ると、家に向かって歩いた。

