「はい、キーパー」


「ありがとう
ございます」


手渡されたキーパーを
持って自分の部室に
帰ろうとしていると

「昨日はゴメンね!!」

と謝ってきた。

突然、謝ってきたのは
部内でもイケメンと評判の
神谷 敦士(カミヤ アツシ)
だった。



「昨日、練習中
ボール当たったでしょ?
あれ、俺が投げた球
だったんだよね」


あっ!!
昨日の練習中の事か


「痛くなかったから
いいですよ」

と言うと

「ほんとは痛かった
でしょ?」

と言いながら少し
たれた丸い瞳で見つめてくる。


「いやいや、大丈夫です
痛くなかったし!!」


「絶対、痛かったよ~
ほんとは痛かったん
でしょ?」


「大丈夫です」

「ほんとの事言って!」

「痛くないです!」

「痛かったんでしょ?」


いつまで続くの
だろうと思いながら
苦笑いしていたら

「ほんとにゴメン!!」

と大声で謝るので
近くにいた野球部以外
の部活の人も、みんな
こちらを注目していた。