そこでようやく…二人きりになれた。 「な?晴信様はお前を気に入ったであろ?」 「まさか、あなた様が晴信様だったなんて…知らずに失礼をしてしまいました…申し訳ございませぬ…。」 深々と頭を下げて謝るが…俺が好きでわざと違う人間を装ったのだ。 「…面を上げよ。そのような事、気にしておらん。俺は…お前が来てくれて嬉しい。その…お前は…どうなのだ?俺で良かったのか?」 決められた結婚であるから、本来娘に選択権などないのだが。 俺は…愛しいと思うし、出来れば同じように感じていて欲しかった。