「…まことで…ございますか…?」 驚いたように顔を上げる。 …愛らしい。 このような娘が、不器量とされる世がおかしいのだ。 「あぁ。俺は美しいと思う。…自信を持て、そなたは晴信様の妻に相応しい。」 決められた政略結婚ではあるが…俺は、この娘しかいないと思ったのだ。 軽く、あやすように柔らかそうな髪を撫でてみる。 本当に…柔らかい。 「…さ、早く部屋に戻れ。誰かに見つかったら騒ぎになる。…覚悟を決めろ。」 「……はい。…申し訳ございませぬ…。」 まだ不安げではあったが、諦めたようだ。