「どうぞ、お斬り下さいませ…!わた…くし…っ晴信様の妻になれませぬ…っ!」 やっと口を開いたかと思えば…またもや泣いてしまった。 「鬼」とは…この容姿のことであったか。 「何故、そのようなことを申す?妻になれぬなど…。」 まさか、俺が「晴信様」だとは微塵も気付いておらぬようだ。 「わた…くし…っこのような容姿でございます…っ…鬼だと皆から恐れられ…っ…黒髪でもないし…瞳も切れ長ではございません…っこのような美しくないわたくしなど、相応しくありませぬ…っ!」 美しく…ないのだろうか。