鬼姫、か。 そのような娘を俺の妻に…流石父上、俺を疎んでいるだけはあるな。 だが、我が妻に相応しい。 俺は武田の為なら、どんな非道な策でも実行する。 鬼のような娘でないと、困るのだ。 今日1日は相手の姫は部屋で休み、明日初めて顔を合わし…婚礼の儀が行われる。 皆、浮き足立っておるから…正直、退屈だ。 退屈凌ぎに、庭でも散策しようか。 ふと、庭に出た時だった。 ――ガサガサ…ッ 庭の木々が揺れる。 人間の気配。 「何奴…っ!?」 俺は咄嗟に刀に手を掛けた。