「来ると思ったんだよなぁー・・・」


へらへらと、笑おうとしている。

でも、違う。そういうの、困る。

もっといつものように、楽観的に、軽いかんじで言ってよ。



「・・・だからずっと話しっぱなしだったの?」

「え?もしかしてバレてた?」

「なんとなく・・・」



驚いた顔。照れた顔。笑った顔。

半年も一緒に居れば、どれがどうとか、わかる。

少しやりにくそうな表情で笑って、「ダメだなぁー俺」と呟いた。



「でも、いいよ。別れたくないとか、言わないから」



ずっと笑顔を保ってくれるのは、将が楽観的な性格だからなのかな。

少なくともそれにあたしは助かっている。

どもるようにあたしは、「ありがとう」と言った。



「え?それ、イヤかも。なんかこれから俺死ぬみたいじゃん」

「だって、半年間はほんと・・・」

「これからは、友達」



はきはきとした口調で、あたしの言葉は遮られる。

見ればさっきよりもいつものように、笑っていた。



「大丈夫。メールとか電話、あんまししないように心がけるし」

「・・・・・」

「それにほら、俺ってそういう未練がましいタイプでもないし?」



黙って将を見ていると、「冗談のとこは、笑ってくんないと」って、あたしの頭を軽く叩いた。

ああ、いつもの将だ。って、ぼーっと思う。

確実に終わっている。あたしたちの半年の関係。

後悔の気持ちは押し寄せてこなかった。

でも不思議な感情が、あたしの頭の中を空にさせる。



「にしても今日、勘が冴えてんだけど。すげぇ」

「勘?」

「このこともほんと、なんとなくわかったし、まぁ他にもあるんだけど」

「他にもって?」



「うーん・・・内緒。」と、曖昧に言った。

それに対して、そこほど気にすることもなかった。

気にしなくても、あたし達、終わっちゃったんだから。と、頭の中で呟いた。


淡々と終わったあたし達。

明日からは、一緒に帰ることも、ないんだ。