公園につくまでも、ついたあとでも、

今日はずっとずっと、将が話していた。

あたしもそれに応じるけど、そうして続けていく内にわかってきた。

将が気まずそうにしていることを。



「それで、主人公がバーンって撃たれて、死んだと思ったら・・・」



話は本当に、気まずさなんて感じられないくらいの他愛ないこと。

この間観たらしい映画の話を、途切れ途切れに話していた。

間が空くたびに、「ちょっと待って。今思い出してるから」と言う。

でもそれが違うこと、なんとなく気付いた。

ふと目が合うそのときに、気まずそうに視線が宙を泳ぐから。



そろそろ、切り出し時なのかな。

わかんない、どうしてこうもあたしが決断を急いでいるのかも。



一歩、将に近づく。

座り込んでいる将があたしを見上げる。

夕方で、曇り空。

辺りはぼんやりと薄暗く、そろそろ街灯がつく時間だろうか。



「・・・あの、さ」



どうしてここまで自分が冷静なのか。

淡々と目を逸らさずにいれるのか。

すごく気まずそうな将を見ていたら、それが不思議に思えてくる。

だけど、



「距離、おかない?」



あんなに固く決意していたのに、肝心な"台詞"だとかは用意していなかったことに気付いた。

出てきた言葉は曖昧な台詞で、でもこれで、通じないような奴じゃない。



「・・・これまた随分とタイミング微妙な」



ふふっと軽く笑って、やっとまともに目が合った。

どこまでも真っ黒な目。どこまでも黒く染められた髪色。

あたしの視線は、いろんなところへいっていた。

まるで、将を最後にまともに見ておこうとしているように。



「タイミングなんて、掴める人じゃないよあたし」



同じように、笑ってみせた。

そうすれば気まずい終わり方が、ちょっとでもマシになると思った。

さっきまで泳ぎがちだった将の目線は、ずっと動かないでいる。



「うん、知ってる」



ふと真顔になって、そう言った。

なんて真剣な空気なんだろう。

苦手。

こういうの。