でも、あたしの上に乗ってる男はそのまま。

しかも、どんどん近付いてくる。

「こっち見ろよ」

汚い指で、顎を上げられた。

嫌!!

自然と目に涙が溜まる。

翔に抱きしめられても、全然嫌じゃなかった。

むしろ、安心した。

そりゃ、信頼とかもあるかもしれないけど。

でも、心の底で何かが違うと思った。

あたし多分、彼方君でも嫌なんだと思う。

翔じゃないと・・・

もしかして・・・

あたし・・・

翔の事好きなんだ。

男がグッと顔を近付ける。

背けたいのに、力が強くて背けられない。

あと一cm。

ドカッ

「っ!?」

すごい音が鳴り、上の男が消えた。

「大丈夫か?」

前に立ってたのは、あたしが今好きだと気付いた張本人翔だった。