特別なあだ名

「龍」

「じっじゃあ、また明日」

龍を見て、逃げるように帰って行った雅也君。

「何なんだよあいつ」

「まっ雅也君は」

「下の名前で呼び合うような仲なんだな」

「ちがっそんなんじゃない」

「ならいいけど いくぞ」

「うん」

いつもどうり龍牙の後ろに乗って、溜まり場に来たけどあたしと龍牙の間に会話はない。

皆はそんな雰囲気を感じ取って何も言わない。


「小子」

トイレから出ると、誰かに呼び止められた。

「唯斗」

「何があったんだ?龍牙が小子に怒る事なんて滅多に無いのに」

「やっぱり怒ってる?」

「ああ 気付くやつは少ないと思うけど、他のやつには普通に接してるし」

「はぁ・・・どうしたらいいの?」

「話してくれる?」

「うん」

やっぱり唯斗は優しい。

「少し前からさ、ある男の子に言い寄られてて...」

「龍牙に言ってなかったの?」

「心配かけたくなくてさ」

「その気持ちも分かるけど、一言ぐらい言っておいた方がよかったんじゃないのか?」