誰なのか…
あの人物は誰なのか…


雲から顔を出した満月が、その姿を照らす…

 「……!!」

見覚えのある顔…
確かに知っているあの顔立ち…

そして、怪しく光る…緑色の、瞳…


そこにいたのは…ノワール…

何故…
何故いるのか…
何故ここにいるのか…

カリンの頭の中に、色んな疑問が駆け巡る…


ノワールは、カリンを見ると、口の端をつりあげて笑った…

そして…

何かをカリンに向ける…


それは…


ルイが所持していた、あの銃…


カリンはそれを見るなり、目を見開く…

その時…

 「キャッ!」

カリンは石につっかかり、尻餅をついてしまったのだ…


どうしたらいいのか…思考が停止した今、カリンは逃げる事もできなかった…

ただその銃が放たれるのを、待つだけしか…


銃を構え、笑いながら近づいてくるノワール…


 「…我が後継者に…私の後を…ウッ…」

ふらつきながらも、確実に近づく…


そして、引き金へと指を伸ばす…



バン!!

暗闇の中、その音だけが、辺りに響いた…