ある満月の夜…
いつものように、瞬く星が地表を照らしていた…
星空の下、ある木下に1人の人影がある。
長く下ろした髪を風になびかせる女、カリン。
カリンはいつものように、木の傍に腰掛け、ルイを待っていた。
今日は、ルイとカリンが初めて会った、出会いの日なのだ。
星空を見上げていたカリン。
「…!?…」
満月に、怪しげな雲が覆いかぶさる…
地表を照らす光が消えた今、辺りを闇が占領する…
そこに1つ、こちらへ向かってくる人影が…
「…ルイ…?」
暗くて、はっきりとはわからない…
しかし、カリンは寒気を覚えた…
何故かはわからない…
それは良くない事を予期していた…
こちらへ向かってくる人影…
身を屈め、体を引きずるようにやってくる…
苦しそうな荒い息…
そして、周りに漂う異様な雰囲気…
(ルイでは、ない…)
(ルイはこんな雰囲気じゃない…)
危険に感じたカリンは、立ち上がり、後退る…
その影は、ゆっくりと…ゆっくりと距離を縮めてくる…