近くの部屋のベランダから、そんな様子を見ている姿があった。
「マイ、いい加減これ、どうにかしぃな。」
それは、長身で髪を短く整えたマイ。肘を付いて、外の様子を眺めている。
そして何かを持ってやってきたのは、鋭い目で切れ長のイワン。
「?」
「これやこれ…」
マイは肘を付いたまま、顔だけをイワンに向けた。
イワンが手に持っている物は…
特徴のある黒い弓…
そう、マイの形見のような弓であった。
「いいじゃん、別に…」
マイはそう言うなり、再び外を眺めた。
「いいて…ルイも持ってないやないか」
「!そう言えば…でも、剣持ってんじゃん…」
「それは…まぁ、いいわ…」
イワンは諦めて弓を直した。
確かにルイは銃を捨てた…
いや、捨てたというか、返したと言った方が適しているだろう。
あの銃は、ノワールに力を授かった時にもらった物。
それを、善となったノワールの元へ置いてきたのだ。
もう、使う事はないと…

