授けられた力・消えた記憶


マイを止める2人。

 「?何や、2人して…」

 「そうよ。相手は悪魔よ。」

ルイまでもがそう言うので、すこし戸惑うが、マイは弓を下ろそうとはしない。

 「周りに他の悪魔の気配がない。だから、大丈夫だろう…」

 「んな事…」

確かに辺りには悪魔のいる気配はない。しかし、油断大敵である。


 「そうだろ?カリン。」

 「えぇ。きっと…」

2人は強い意志を持つ瞳で、マイを見つめる。

 「…わかったわ…」

それに折れたのか、マイは深く息を吐き、弓を下ろした。

しかし目では、まだ信じないと訴えている…


そんな中、大粒の雨が、山の中を降りしきる…

先程まで綺麗な小鳥のさえずりが響き渡っていたのに、その声は消え、雨の音だけが鳴り響く。


急いで洞窟まで行かなければ…
ルイ達4人は走り出す。

そんな中、リリンだけはその場に立ち尽くし、雨に濡れていた。

 「…こっちに来ぃな。」

その横を通り過ぎたイワンは、躊躇いながらも、リリンに声をかける。

 「はい…」

その声に我に返ったのか、リリンはそう返事をし、4人の後を追った。



山道の中、4人の人間、1人の悪魔、走る姿あり…