王は何とかノワールに傷を負わせようと試みる。

だが、ノワールは逆に王に傷を負わせた。何もしていないはず…なのに…


 「遊びにもならん」

ノワールは飽きたかのようにそう言い、ノワの向かった方へと歩き出す。


 「!…待て…」

それに気づいた王は、先程負った腹部の傷を押さえながら、ノワールの前へと立ちはだかる。

大量に、流れる血…

もう死ぬ事はわかっている…
ならば、死ぬまで、やるべき事を成し遂げるまで…

 「フン…死ね。」

目の前に立ちはだかった王を見て、鼻で笑うノワール。

何もしなかった…触れも、かすりも、何も…

 「!…」

しかし、王の体に痛みが走る…

痛みの元…胸へと目を下ろす王…

そこにあったのは…自分の血で黒く染まった胸…

大量の血が流れ出る…止まる事のない…大量の血が…


それは一瞬だった…
やはりかなわないのだ…あいつには…

膝を付き、そのまま地面へと倒れる…

命の灯火が消える中、王は思う。

(…すまぬ…ノワ…)

そして目を瞑り、深い眠りへと落ちていった…

(待たせてすまなかったな…ミミ…)

王の最後の顔は、笑っていた…

愛しい者の元へ向かったのだろうか…