4人の旅人は、谷を抜け、山道を進んでいた。
情報がない以上、目的とする行き場は無いものの、どことなく歩んでいるのだ。


だが、いつもと違う…

先程はあんなに仲の良さそうに歩いていたのに、今4人は顔を伏せ、考え込むように歩を進めていた…


何があったのか…

それは、4人が谷を越える時に起こった…


水が輝きながら流れる中、その中を歩む4人。
そんな4人を、降りしきるマイナスイオンが、癒やしてくれる、はずだった…


慣れない濡れた場を歩む為、カリンが足を滑らせたのだった。

 「キャッ!」

 「!…大丈夫、か…?」

転びそうになったカリンをルイが支える。いつものそんな光景。

しかし、触れたその手が、あまりにも冷たかった…
こんなに太陽が地表を照らしているというのに、彼女の手は、冷えきった氷のようい冷たかった…

その冷たさが引き金を引いたように、ルイの頭にあの言葉が蘇る。


-カリンは、死んだ事になってる…-

クロウンのその言葉…

忘れようとした記憶…

信じようとしていた…

生きていると…必ず、生きていると…

しかし、心はそうはいかない…カリンを疑う…そう囁くのだ…