大きな杉の木の頂上。

そこには、4人の旅人を見つめる怪しい影が2つ。

 「…せっかくのチャンスを…」

色白の、緑色の瞳をつりあげ怒った口調で話す男、ノワ。

 「しかしノワ様、全て、うまくいっています。」

それをあやすように黒髪をツインテールにした女、リリンが言う。

リリンの言葉に、顔を向ける。
いつもと違う、怖い顔に、リリンは少し恐れを感じる。

 「わかってる。わかってるよ…!そうだ…」

何かを思いついたのか、先程の怒っている顔が消え、何かを企むような顔へと一変した。

 「?何をお考えに…?」

少し控えめに訊くリリン。
怒りをかいたくないのだ。

 「いいから、着いてきなよ。」

そう言い、ノワはどこかへ向かっていった。

 「はい。」

いつもの顔に戻ったノワに安心したのか、リリンはノワの後を追う。


杉の木が、風に吹かれたように揺れた。

そこにはもう、姿は無い。

まるで初めから、何もなかったかのように…