そしてまた、カンナはカリンに何かを手渡す。

 「?」

それは、綺麗な短剣。太陽の光を受け、輝いている。

 「護身用に。使うことはないと思うけど…いえ、使わないでほしい…」

そう言い、カリンの手を強く握った。
潤んだ瞳でカリンを見つめて…

 「ありがとう。」

短剣を腰に通し、カンナに背を向け、歩きだそうとした。が、

 「…お母さん!」

カリンは振り返り、カンナに抱き付いた。

旅に出るのを拒む子供のように…

 「!カリン…」

思いもしない行動に、驚くが、優しく頭をなでてやった…
泣きじゃくる子供をあやすように…

そしてカンナはカリンの肩に手を置き、澄んだ瞳を見つめる…

 「気を付けるのよ!」

そう言うカンナの瞳は、まぎれもなく、1人の母親の瞳をしていた…

 「…」

 「さぁ、行きなさい…」

言葉のでない様子のカリンを優しく見つめ、カンナはルイ達のいる方へと背中を押してやった。

 「…うん。ありがとう。」

その弾みでカリンは歩き出す。
最後に礼を言い、仲間の元へと…