闇の中、人間のスピードとは思えない速さで、家々の屋根を移動する姿があった…

それは、黒髪の女リリン。
その女の腕の中には眠っているカリンの姿があった。

そんなリリンの前に何者かが現れる。

 「!…」

リリンはスピードを止め、立ち止まる。そしてそこにいたのは…

 「ノ、ノワール様!?」

そう、そこにいたのはノワール。ノワと同じ、緑色の濃い瞳を持つ男…

 「何をしてる?」

ノワールは閉じていた瞳をリリンに向け、威圧的にそう言う。

 「は、はい…その…カリンを…」

リリンは正直にそう言った。
背中を嫌な汗が伝う…

 「フンッ…バカな真似を…」

ノワールは、眠っているカリンを見ると、鼻で笑った。