授けられた力・消えた記憶


建物を出て、ほんのりと暗くなった外を走るルイ。

 「ハァハァ…どこ行ったんだ…!」

辺りを見回し、何かに気づいたようだ。

       バン!

ルイは銃を放った。その音が静かな暗闇へと響き渡る…


弾は外れたようだが、そこにいた男が振り返る。

 「?君は…」

緑色の瞳でルイを見つめる男。

 「カリン!」

その男の細く白い腕の中に、カリンがいた。

 「確か、ルイとか言ってたね…」

ルイの言葉にはめもくれず、自分の話を続けた。

 「…誰だ、君…」

見知らぬ男に抱えられるカリン。そして男は自分の名を知っている。
何者なのか…

 「僕?僕はノワ」

警戒するルイに対し、男は何の迷いもなく名を名乗った。

 「!ノワ!?」

どこかで聞いた事のあるような名前。
そう、どこかで…