授けられた力・消えた記憶


マイは走るスピードを緩めだした。
そして、彼女の足は止まった。

 「…」

無言で黒く輝く矢を見つめる。

このマイが持っている弓は、彼の物なのだ。

彼女は彼の意志を継ぐ為、この矢で、彼を殺した霊達を…

(また…逃げるの…?)

マイはまた自分に問う。

そして矢を強く握りしめた。

(…今の私は違う…)

目ににじんだ涙を拭い、霊の元を睨みつける。

(この矢にかける…お願い!)

マイは矢を放った…