藤井先輩の私。



「ってコレ、綾姉の特攻服じゃねぇかよ!!」


なんであたしが総長しか着れない紅蓮のトップの証を着るんだよ。



「あたしは今、紅蓮の総長引退する。江梨香、紅蓮をお前に任せる」




「は?何言ってやがんだよ!綾姉が総長だよ」


「違う、あたしはもう紅蓮のもんじゃない」



綾姉がトップだから、みんなついて来てるんだ。


あたしはまだ中3だし、そんな力はないのに。




「あたしは、何事にも本気でぶつかりたい。あたしはあの男に本気の恋してんだ。…紅蓮を中途半端な気持ちでまとめらんねぇ」



そ、そんな。



「江梨香。あんたはあたしの妹だ。強さもあたしには劣るが幹部のメンバーの誰にも負けてねぇ。信じてるからよ」



そんなまっすぐな瞳で見つめられちゃあ、…頷くしかねぇじゃんか。



あたしは無言で、綾姉が手に持ってる特攻服を受け取った。



「じゃ、それを今から仲間に報告すっか」


「あ…綾姉ぇ…」



「泣くんじゃねぇ。男でも女でも簡単に涙は流すなってあたしいつも言ってるよな」



涙を拳で拭うけど、涙はすぐに流れて、ちっとも止まらなかった。



「綾姉…あたしも綾姉の本気応援する…」


「ありがとよ」