藤井先輩の私。

こうなったら、意地でも振り向いてやる。


ぐぬっと勢いよく振り向こうとするけれど、やっぱり貴光は押しとどめた。


…往生際が悪いわね。


そうだ!


右手を後ろに回して、貴光の脇腹をこちょこちょっとくすぐる。


「うわぁあっ」


今だ!


ばっと振り向くと、貴光はすぐに顔を隠した。


「なんで隠すの?」


「恥ずかしいから」



「……うん。わかった。じゃあこのまま聞いて?」



顔を手で覆ったまま貴光はうなずく。
…なんだろう、可愛い。



ふぅっと私は深呼吸をして、話し始めた。



「ケーキ屋さんで、突然走って帰っちゃったのってなんでか分かる?」



「……あのお姉さんたちが原因?」



「…分かってんじゃん」



貴光のことだから、私が焼きもち妬いてること気づいてないと思ってた。




「貴光…笑ってるから、楽しそうに話してるから…嫉妬しちゃった。ごめんなさい」



「え…?そん…だけ?」


「そんだけって何よ。……大人げないとは分かってるけど」


「心配しなくても、僕はユカが一番好きだよ!」



あーっもう!!なんでそうスラスラと言えるかなぁ…。


って、貴光…顔…。


さっきの言葉言うとき、とっさに顔から手離したんだ。


……貴光の目……腫れてる。



「もしかして、その目隠すために?」


「……男が目腫らしてんのかっこわるい…し」


「ふふふっ」


「何笑って…」


私は両手で貴光のほっぺたを包んだ。