藤井先輩の私。



扉を開けると、




「あれ?」



貴光がいると思っていた教室には誰もいなくって、拍子抜け。





「たか…みつ」

いなかったことに、内心ホッとして、名前を呟いた。



ふわっ



ぎゅっ





え?





「僕……別れたくないです」



背後からというか、耳元から貴光の声。



っていうか!!

私、後ろから抱きしめられてる?!


ちょっと…えっと…あの…




「僕、柚果のこと離したくない」







「柚果が僕のこと嫌いになっても、僕はずっと好きだから…」







「好きだから、別れるとか…むり」











私の言いたかったこと、すべて吹っ飛んだ。






なによもう。






私は貴光の抱きしめている手をそっと触る。





あっ……震えてる。



「貴光?」


私は振り向こうと体を後ろに向けようとする。


「だっ…だめ」


強い力で前を向かされてしまった。





「なんで?」


「だめ…だから」


理由になってない。