藤井先輩の私。

sideユカ


あんなに泣いたのって、昨日がはじめてだったかもしれない。

誰かを思って泣いたのって、好きで好きでたまらなくって泣いたのってはじめてだったかもしれない。



どうしても、許せなかった。

私のこと見てくれている瞳で、他の子見ちゃいやだって。


そんな気持ち嫉妬だって分かってる。
子供みたいにだだこねているんだって分かってる。


気づいてほしかったの。


私のこと。私の考えていること。私が思ってること。


気づいてほしかったの。


いつもいつも、私貴光を怒ってばっかりで、素直にならなきゃって思っててもうまくできなくて。


でもそれを温かく受け入れてくれる大きな貴光。

私があなたをすごくすごく好きなこと、どうやったら伝わる?


どう言えば、貴光に届く?



貴光は優しいから、きっと私が別れたいって言ったら分かれてくれるよね。

きっと、すぐこの手を離してくれる。


ケーキ屋さんであんな風に突然、走って逃げちゃったら、貴光…もう私のこと見てくれないかもしれない。


貴光は優しいから、別れたくても別れたいなんて言えない。

……貴光は…きっと。





じわりと熱いものが目に込み上げてきた。


視界が涙でゆがむ前に、目をこすってふき取ると、私は教室の扉に手をかける。