藤井先輩の私。

 

「おはよ」

「おはよう」


靴箱でばったりユカに遭遇した。

「ユカ…その目…」

「陽依こそ…」


ユカの目も腫れていて、私と同じように泣いたんだなって分かった。

「大丈夫?……たぶん教室…委員長いるよ」


私の言葉に、ユカは靴箱に靴をしまおうとしていた手をピタっと止める。


「大丈夫、だと…思う」


「そっか」


私と先輩は教室の階が違うし、自分から会いに行かないと会えない。

でも、ユカ達は…。



「っだーもう。こんなぐちぐち悩んで私らしくない…」


「ユカ…」


「昨日あんなに泣いたのにさ、すぐ涙でちゃうんだもん。…私こんな弱くないのに。あんな些細なことでなんで…なんであいつのために泣かなきゃなんないの。あり得ない」

「ユカ、教室…一人で行ってきなよ。ほら、まだみんな来てないよ」

靴箱には、私の靴とユカの靴、委員長の靴しかなくて、珍しくみんなはまだ学校に来ていない。

今なら2人きりでちゃんと話ができるはず。

今じゃないと。

今話し合わないと。



「ユカ、思ってること全部話して素直になろう」


「えっ…」


「今日ね、お母さんに言われたの。“女の子は素直が一番”って。だから」


ユカは驚いたように私の顔を見た。


「まさか陽依に諭される日がくるなんてね…うん。ありがと、頑張ってくる」



「行ってらっしゃい」

私はユカの走っていく背中に大きく手を振った。