「私が陽依ぐらいのころ、よく蒸しタオルのお世話になってたんだけどね」
突然、キッチンで懐かしむように話しだすお母さん。
私は黙ってそれを聞いてる。
「お母さんね、後になって気づいたの」
蒸しタオルが目をじんわりと温める中で、お母さんの声が優しく心に響く。
「蒸しタオルを使ってる時の私って、すっごくすっごく弱虫で、素直じゃなかったの」
「陽依はどうして蒸しタオルを使うことになったのか、お母さんは聞かない。…でもね、これだけは言わせて?」
「女の子は素直が一番」
素直が…一番…。
なんだかまた目頭が熱くなって、蒸しタオルをそっと取ると、目の前には朝ごはんが並んでた。
「さっ、召し上がれ♪」
「い…いただきます」

