「ほらっ柚果、いい加減落ち着けって。お二人ともすいません」
委員長が珍しく、ユカをたしなめる。
「ええんよ。…一つ聞いてええ?2人の名前知りたいねんけどぉ」
巻き髪を指に絡めながら、お姉さんズの片方が聞く。
「あっ…えっと、俺は小西貴光っていいます」
「顔赤くってかわいい~」
キャーキャー騒ぐお姉さんズ。
「俺は藤井悠太言います」
「貴光君と、悠太君やね~」
さっきから…胸がチクチクする。
名前、私…先輩のこと名前で…呼んだことないのに…。
「……貴光…」
ユカは何か言いかけて、拳をぐっと握り、黙り込んだ。
ユカらしくない。
…どうしたのかな。
さっきまでの啖呵切ってる勢いがまるでなくなり、ユカは前を向いた。
「ユカ?」
「……貴光なんか、知らない」
ボソっとユカはつぶやく。
目にはうっすらと涙が光ってた。
……ユカ。
なんとなく、なんとなくだけど、私にもその涙の理由、分かる気がした。
だって、私も泣きそうなんだもん。
先輩も、委員長も、さっきからずっと私たちのこと見てない。

