「俺が誰にでもあんなことすると思ったわけ?」
「え?」
坂上は、呆れた顔でこちらを見る。
「俺はただ、藤井さんがお兄さんのこと忘れてほしかっただけ」
「はぁ?それどういうこと」
さっきから、坂上は意味分からんことばっかりや。
誰か、坂上の取扱説明書持ってきてー。
「……ブラコンの上に鈍感かよ」
「坂上、アンタ頭おかしいんちゃう。大丈夫か?」
それから坂上は大きなため息をつくと、あたしの家の前まで終始無言だった。
なんか考えてるっぽい表情してたけど。
「あたし、ここやから家。じゃ、また学校でな」
「おい、今週末、俺に付き合え」
家の中に入ろうとしたあたしを引きとめる坂上。
今週末?
「あ、ごめん。週末はお兄ちゃんとこに…」
「断れ」
「なんで!?」
「お兄ちゃん離れしたんちゃうか?」
「あ…」
そう言えばそうやった。
「週末は俺とデートええな」
でっデート!!??
爽やかに笑う坂上渉。
不意打ちスマイルに、不覚にもドキッとしてしまった。
なっなんで、あたしがこんな奴と…。
「デートって、アンタあたしのこと好きでもなんでもないのに。デートってのは、好きな人とするもんであって」
あたしが、熱くなった頬を両手で冷やしながら、御託をならべていると、
「俺、藤井さんのこと好きだから。じゃ、また明日学校で」
と、坂上は満足気な表情で帰っていった。

