「あたし、お兄ちゃんのこと好きやねん」
「うん」
「おっちょこちょいなとことか、嫌々行っててもあたしのお願いきいてくれることとか、頭をくしゃって撫でてほめてくれるとことか…全部」
あたしのバカな言葉を、坂上は無言で、こっちを見ずに聞いてくれる。
「めちゃくちゃ好き…」
「うん」
視界が涙でぼやける。
と、同時に、あたしの体はふわっと何かにつつまれた。
「さ、か…がみ?」
抱きしめられてる?
「うん」
あたしが名前を呼ぶと、耳元から坂上の声が聞こえてくる。
「なにしてん…の」
しゃくりあげながら聞くと、坂上はいつもの口調で
「抱きしめてる」
と返してきた。
ほんと、意味わからん。
でも……落ち着く。
「藤井さん、言いたいこと言って、俺聞いてるふりするから」
「何それ…」
「いいから、全部言ってしまえ」
坂上は、ぎゅっと強くあたしを抱きしめる。
あたしは、その言葉に甘えて、心の中のドロドロした気持ちを、声に出すことにした。

