藤井先輩の私。

学校。




自分のクラスの前で止まる。


……変に緊張するのはなぜだろう。



廊下の窓から教室の中を確認してみると、まだヤツは来ていなかった。




「…よかった」


「何が良かったんですか?藤井さん」



ひっ。



耳元にフッと息を吹きかけられて、あたしは思わず尻もちをつく。



「大丈夫ですか?はい」


そう言って、そいつはあたしに手を差し伸べた。


……。



「ほら、立たないと汚れちゃいますよ」



ぐぬっ。


あたしは、差し伸べられた手を握って立ちあがった。




「改めまして、おはようございます。藤井さん」


不敵な笑みを浮かべる男、坂上渉。


いったいどういうつもりやねん。




「おっおはよ…」



あたしがあいさつすると、坂上はスタスタと自分の席へ歩いて行った。


…ふぅ。


ていうか、なんであたしがこんなにビクビクせなあかんねん。


堂々としとけばええねん。



あたしも席つこー。



カバンをどさっと机に置いて、席に着く。


HR始まるまでひと眠りしよう。





「杏奈杏奈杏奈杏奈!!」



机に伏せた瞬間、甲高い声があたしの耳をつんざいた。