藤井先輩の私。

陽依、陽依、陽依、陽依……そればっかり。



あたしの気持ちなんか全然知らないで、悠太のお兄ちゃんのバカ!




あたしは、急いで自分の部屋へ入り荷造りを始めた。



いまから準備したら、最終の電車に乗ってお兄ちゃんの住んでる所に行ける。



藤井悠太はあたしのお兄ちゃんなんやから。



こんな簡単に奪われてたまるかい。



オトンも今日は遅くなる言うてたし、置き手紙でも残しておいたら大丈夫やろ。



キャリーバックを押し入れから取り出して、箪笥から服を詰められるだけ詰めた。



あとはお泊りセットや。



そうこう数時間準備しているうちにすっかり日は暮れている。




「おっとヤバい、もうこんな時間や、そろそろ家出なあかんわ」




キャリーバックをごろごろと引きながら、玄関まで行き、戸締りなどを確認してから家を出る。




外に出ると、北風がびゅうっと吹いて、あたしの体を震わせた。



「よし、駅に出発や」





駅まで歩いて15分。


そんなに遠くはない。



……でも本当に真っ暗やな。




いつもは星がきらめいて、夜道を明るくしてくれるのに、今日に限って星が出ていない。





「なんや、不気味やな」



腕時計で時間を確認すると、最終の電車まであと30分を切っていた。



うそ、もう少し早く家でればよかった。


急がな。



少し早歩きになる。