話があるという姉の言葉に、しかたなく近くにあるソファーに腰を下ろす江梨香。
「で、なんだよ話って」
「あのよ…江梨香…」
「そんなに深刻な顔するほど、ヤバい話かよ!」
何を勘ぐったのか、江梨香は拳を握り締めて「天竜の族の奴らがまたなんかしたのかよ綾姉!!」と眉間にしわをよせて怒っている。
「ちげぇよ」
「じゃあ何なんだよ」
いったい綾姉は何を話そうとしてんだ?
あたしに言いにくいことなのか?
……まさか紅蓮を解散する気じゃねぇよな。
頭をブンブン振って、嫌な考えを吹き飛ばす。
「…なぁ…江梨香」
意を決したように、綾女は口を開く。
「お前……“恋”って知ってっか?」
はい?

