………寒い。
秋風吹きすさぶ中、あたしは木に登って藤井のクラスにピントを合わせた。
藤井…藤井は…あ、窓際じゃん。
ここバランスとりづらいから、なかなか藤井にピントが合わない。
くそっ。
何とかピントを合わせて、じっとシャッターチャンスを待つ。
あっ、後ろ向いてるし。
こっち向け!
いや、こっち向いたらバレるか。
せめて横顔を!
じっと藤井を見つめる。
ほんとうにオレンジ色の髪の毛してる。
意外と背高いんだなぁ。
笑ってる顔、かわいいかも……
って!!
何考えてるんだあたしは!!
写真撮らなきゃいけないんだぞ。
それからあたしは無我夢中でシャッターを押した。
場所を移動したり、アングルを変えてみたり。
「綾姉!写真撮ってきたよ」
高校をあとにしたあたしは、その足で病院へ直行した。
「あら、見せて見せて」
本当にうれしそうな顔。
「ほら、江梨香。こっちに来て一緒に見ましょうよ」
ぽんぽんとベッドを叩いて微笑む綾姉。
「うん!」
あたしと綾姉は、藤井の写真を一緒に見た。

