藤井先輩の私。

逃げるべきか考えていると、さっきの綺麗な女の人がこっちに走ってきた。



とっさに逃げようとすると、




「逃げなくていいから、私は夏子。綾女から聞いてない?」



この人が、夏子さん?




確かファンクラブの書記の人。



「写真、撮りに来たんでしょ?なら、こっちに来なさい」



「は、はい」


黒髪が腰まで伸びて、品が漂う女性。

泣きぼくろがあって、誰もが美人と認める顔立ちをしてる。




「あ、言っておくけど。私はファンクラブの書記してるけれど藤井には興味ないわよ」



えっ?



「ならどうして?」



「私はお金が恋人なの。藤井ファンクラブ会員にグッズ売ればがっぽり儲かるのよこれが」



そう言って夏子さんは大笑いした。


いい人なんだか、違うんだか…。



「写真をとるなら、この地図を頼りに撮りなさい」



夏子さんは一枚の手書きの地図をあたしに手渡した。


「これって」


「私が見つけたベストショットスポットよ。コレ一応商売道具だから、絶対失くさないようにね」




もう一度地図を見ると、校舎やグラウンドのいたるところに赤い印があり、小さい文字で事細かに撮るタイミングなどが書かれていた。





「じゃあ、あとはご自由に…あぁ、あとコレかぶってなさい」



そう言ってあたしに迷彩柄のキャップをかぶせると、足早に夏子さんは去って行った。



「……台風みたいな人」




あたしは、地図を見ながら移動を始めることにした。




いっぱい写真撮って綾姉に見せてあげなくちゃ!