藤井先輩の私。

あたしは、ゆっくりと部屋から出ると、倉庫の出入り口にできている人だかりをぼーっと見つめた。


この紅蓮に喧嘩売るたぁいい度胸してるじゃないの天竜さん。



綾姉の代よりは少しは弱くなったかもしれない…けど、でもあたしは紅蓮が最強だと思ってる。


天竜の奴らが何と言おうが、紅蓮はずっとトップを行く。




「総長!」


幹部メンバーや下っ端くんたちが次々と私に振り返り頭を下げた。


うん。


総長ってのも悪くないかも。




頭を下げない連中がいる。


よく見ると見慣れない特攻服。


……天竜の下っ端共か。




あたしは堂々と天竜の族の前へ歩み出た。



ものすごい形相であたしをにらむ。


いきがっちゃって…。



下っ端の頭らしき男が私の前へ来た。


いい度胸してんじゃん。




「天下の紅蓮も劣ったな」




ニヒヒッと笑いながら挑発するようにあたしに告げる。