いつ頃からこうしてきたか。
何故私はこの世界にいるのか。

覚えてないし、通りすがりの誰かに聞いてみても答えは出なかった。

仕方なく私は歩く。

自分の存在意義を探すため。

私の姿は世界が変わるたびに変化する。

ある日は猫。
ある日は少女。
ある日は成人女性。

どうやら性別は変わらないらしく私は女もしくは雌らしい。

世界が変わる周期はまちまちで短い時はは数分、長い時は数年。

あまりコロコロと変わると自分が何だったか判らなくなることもあり頭が混乱する。

短時間に猫・魚・昆虫・植物になった事もあり自然の流れを身を持って体験してしまった。

正直、疲れる。

でも自分がこうして歩いている事にも何かしらの意味が在るのかもしれないと思うと留まる気にならなかったし、意味が在って欲しかった。

ただこの孤独感が嫌なだけなのかもしれない。

コロコロと姿を変えるこの世界は私の意思を無視しながら渦巻く。

私に愛しい者が出来たことも、必要とされてその世界に留まりたいと願ったこともあった。
この世界に来てまだ間もない頃の話だ。

願うだけ無駄だと気付いたのは50回位世界が変化した頃。

それまではなんとかその世界に留まる方法は無いかと模索していろいろと試してみたりしたけど結果は変わらなかった。

世界は音を立て崩れ、大切な者をも消し去り私は同じ場所に戻る。

小さな部屋に星を散りばめた、私以外誰も居ない空間。

静かで寂しい私だけの部屋。

その寂しさに耐え切れなくて星に触れると部屋は弾け新しい世界に移る。

ただそれの繰り返し。

最近では世界が変わって何回目かなんて数えるのも諦めた。

ここは誰かの夢の世界。

時には残酷で。
時には恐ろしく。
時には美しく。
時には悲しい。
時には何の意味かも判らない世界。

私は村人A、殺害される被害者、ペット、恋人、子供など。

実在しない者の代わりに私が穴を埋め、私は自分の孤独感を埋めるため存在意義を確かめるために人々の夢の中を歩く。

さあ、行こう。
次の世界へ。