見上げた先にはしゃがんで、私に背中を向けている直哉がいた。




「…何?」



何がなんだかわからなくて、私は目を見開いて首を傾げた。



「ん。乗れよ」



「へ…」



「だから!おぶってやるから乗れって言ってんの!」




耳と顔を真っ赤にして、普段落ち着いている直哉が叫んだ。




「…あ…え…いいの?」



コクコクと恥ずかしそうに頷く直哉。



「…じゃあ…失礼します…」



私は直哉の背中におそるおそる体を預けた。



「重くない?」



よいしょっと立ち上がり、歩き出した直哉に私は恥ずかしさを隠すために聞いた。



「重くない。逆に軽すぎ。食ってんのお前」



「うーん。最近ちょっと太っちゃって、ダイエット中なんだよね」



えへへと笑った私。



だけど直哉は



「バカ。痩せてんのに何やってんだよ。倒れんぞ!?」



そう言って、私をおぶりながらバッと振り向いた。