思わず、泣きたくなって、私は目に涙を溜めた。



「泣き虫」



「うるさい…」



「泣くなよ」



「…うん」




私はゴシゴシと目を擦って溜まった涙を拭った。




「真奈」



直哉が優しく名前を呼ぶ。




私はチラッと直哉に目を向けた。




「今夜、行くだろ?天文台」



眩しいくらいの笑顔でそう言った。




「…いいの?行っても」



「当たり前だろ。てか、強制参加」



ククッと喉をならして直哉は笑った。




「足ケガしてるし、また迷惑かけるかもよ?」



「いいよ」



「いいの?ほんとに?」



「迷惑なんて昔からかけまくられてる」



「ひどい」



「ハハッ。拗ねんな」



また笑って、頭を撫でる。




バカは直哉の方だよ。



こんなに一緒にいるのに、私の気持ちに気付く様子もないもの。




ドキドキしてるのだってわかってないでしょ?



直哉…



バカだよ直哉…