そういってセシルはカトレアを見つめている。

おそらくその人はアニーであろう。そしてセシルはアニーとカトレアを同一人物だと勘違いしている。すぐに誤解していることに気付いたカトレアは

「ニックとは親戚ではないのですが、娘とお付き合いをしていましてどんな子だったのかと・・・」

うつむきながらカトレアは尋ねると、やはり不審に思ったのか

「あなたから見える彼が、『彼』そのものですよ。過去がどうであろうと変わらないのではないでしょうか?」

まさにその通りである。けれどもそれで引き下がれないカトレアは、ありのまま全てを打ち明けたのである。